手取りの月収20万円、貯金なしで注文住宅は買えるのか?

手取りの月収20万円、貯金なしで注文住宅は買えるのか?

増税前や家族が増えた時など、突如として家が欲しくなるタイミングがありますよね。
しかし、今の収入で買えるのでしょうか?

家を買ったことがなければ手取りでいくらあれば安心して住宅ローンを組めるのかなんてわかりません。
そこで今回は手取りの月収20万円、貯金なしで注文住宅が購入できるのかを考えてみます。

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月収20万円で家を買うことができるのか?

結論から言うと、貯金が豊富にあれば可能ですが、貯金が無いなら都心はもちろんのこと、地方都市のそこそこの場所に最低限の小さな家でも無理だと思います。

そう考える理由は以下の通りです。

住宅ローンの収入比率が危険

手取り20万円で家は買えない。その理由は住宅ローンの収入比率が50%を超え、破産に近い数字になる可能性が高いからです。

家の購入費用を試算してみれば色々と見えてきます。

#1. 建物だけでも月々約5万円

家を買う時は、建物一坪辺りの値段(坪単価)で概算額を計算します。

坪単価は、ハウスメーカーにより様々ですが、大手ハウスメーカーだと、少なくとも一坪50万円は必要だと思っておいた方が良いでしょう。

例えば、子供二人と家族4人で暮らすとなると、間取りとしては4LDKは欲しいところです。
そうなると少なくとも建坪35坪くらいは欲しくなります。

これを坪単価50万円で計算すると、建物だけで1750万円となります。
これを全額住宅ローンで借りることになると、金利1%でも月々約5万円になります。

#2. 土地は便利な地域ほど高い

土地は、場所によりかなり値段が違うのでいくらかはっきりとは言えません。

ただ、確実に言えるのは、地方都市でも都心付近だと値段はかなり高額です。
安くても一坪20万円以上は覚悟する必要があるでしょう。
駅近だったり、住環境が良い場所だと30万円、40万円と高額になる場所もあります。

当然、住むなら住環境が良い場所が良いですよね。
建物35坪の家を駐車場3台で建てるとすると、土地は最低でも40坪は欲しいところです。
これを一坪30万円で計算すると、土地代は1200万円になります。

#3. 無視できないほど多額の諸費用

土地代1200万円、建物代1750万円。合計2950万円、「これならなんとかなる!」と思いたいところですがこれだけでは家は買えません。

注文住宅では駐車場や庭などの外構は坪単価に入っていません。先に書いた値段に加えて外構費用が必要になります。
これは庭の広さにもよりますが、40坪の土地なら100万円は最低でも必要と思っておいた方が良いでしょう。

さらに、追加工事費用も坪単価には入っていません。
ここで追加工事なんてしない、標準仕様で充分だなんて考えてはいけませんよ。追加工事は必ず発生します。その理由は、こちらを見てください。

標準仕様では購入できない!家の購入費用で絶対に知るべき注意点

追加工事は安く見積もって100万円は考えておいた方が良いでしょう。

その他、税金など家を買う時の諸費用でざっくりと250万円、建物の消費税で約150万円。合計3500万円となります。
諸費用は貯金がないと割高のつなぎ融資が必要になってしまうのでかなり高くなります。
それに関してはこちらも参考にしてください。

家の購入、頭金なしでも大丈夫か?

最後に、土地が弱ければこれに地盤補強費が加わります。地盤補強費は最悪の場合、100万円以上することもあります。

月収の50%が住宅ローンで消える

結果で出た3500万円を35年、全額住宅ローンで買ったとすると、金利1%で月額約10万円という計算になります。

手取りが月20万円だとすると、月収の約50%が住宅ローンで消える計算になります。残りの10万円から衣料費、食費、あなたのお小遣い、子供の教育費、その他の費用を支払うことになります。

固定費は増える可能性がある

今の時代、固定費はどんどん増えています。携帯代やネット代など、一昔前はなかった固定費が今は必要です。
また、あと10年したら別の固定費が出てくる可能性は十分にに考えられます。

固定資産税も毎年必要になる

加えて、家を持つと固定資産税が必要になります。
住宅ローンが月に10万円でも実際はそれ以上の費用が固定費として消費されるのです。

これが手取りを20万円では買えないと考える理由です。

困った時の味方?ハウスメーカーの営業マン

この記事を読んでいるということは、それでもなんとかして家を買いたいと思っているのではないでしょうか?

もしかしたらあなたはハウジングセンターへ行き、ハウスメーカーの営業マンと話をするかもしれません。しかし、それはかなり危険な行為です。

ハウスメーカーの試算額はあなたのための試算じゃない?

ハウスメーカーに行くと、家の購入金額を試算してくれます。
そして、そのプランはよほどの事がない限り、あなたが家を買えるように都合の良い計算になっています。

変動金利、多額の親の援助、夫婦でフルタイムの共働き、ボーナス全額払い、生活の便を無視した住みにくい土地など、様々な条件が入っています。

ここで注意しなくてはならないのは、これらの提案は、決してあなたが幸せになるためのプランではないということです。
ただ数字を当てはめて、あなたを納得させて家を買ってもらうためのプランである可能性もあるのです。

あなたがハウスメーカーの営業マンだとして、突然やってきた素性の分からないお客様の幸せを考えますか?

あなたの幸せを考えてくれるほどハウスメーカーの営業マンは優しくないと思うべきです。
ハウスメーカーの営業マンは相談するべき相手ではありません。
例え専門知識が無くても、厳しいことを言われても、あなたの親や親友の方がアドバイスをもらうには良い相手です。
それは覚えておくべきです。

家を買うのに必要な手取りの月収はいくら?

では、手取りの月収がいくらなら買えるのか?
私個人の意見では、住宅ローンが月に10万円になるなら、手取り30万くらいは欲しいと考えます。

その理由は、住宅ローン払ってギリギリの生活だと精神的に辛いからです。
実際はもっと少ない手取り額でもやりくりできると思いますが、将来、金利がこのままの保証はありません。
将来のことは分かりませんが、少しでも金利が上がる可能性があるならそれに備えて余裕を持つべきだと思うからです。

また、意図しない異動や転職などで突然給料が下がる可能性もあります。
そうなったとき慌てないためにも余裕は持つべきです。

それでも手取りの月収20万円で家を買いたい

20万円の手取りを30万円に…
いきなり手取りを10万円も増やすなんて無理ですよね。
それでも家を買いたいというならどうするべきでしょうか?
考えてみました。

#1. 大手ハウスメーカー避ける。

大手ハウスメーカーはあなたの家の値段に宣伝費用が含まれています。
また、ブランド価格になっているので割高です。
広告を出していないような地元密着の工務店や中堅ハウスメーカーならより安価で同程度のクオリティがあるところもあるでしょう。

激安ハウスメーカーは注意!

割安のハウスメーカーを探す時は、極端な激安ハウスメーカーには注意をしてください。

家は長く住むものです。
長く安全に住みたいなら家を構成する材質はとても大事です。
最近は、激安ハウスメーカーもよく見かけますが、余りに安すぎる家は問題です。

安いには必ず訳があります。
その訳をちゃんと理解して買わないと天災で簡単に家が壊れたり、破損して住めなくなる可能性もあります。
柱の材質や耐震構造などちゃんと調べましょう。
大事なので繰り返しますが、激安には絶対に訳があります。

#2. 安い土地を探す

都心や都心近くを諦めて交通の便や生活の便が悪い地域を選ぶことで土地代をかなり安くする事ができます。

基本的に便利な地域は土地代が高く、不便な地域は土地代が安い傾向にあります。
その他、不幸があった土地であったり、訳ありな土地は安い可能性があります。
安い土地には訳があります。
その訳があなたにとって問題がなく納得がいくものであるならその選択は有りだと思います。

地盤が弱い地域は要注意!

安い土地を買ったつもりが地盤補強費用で数百万円が必要になり、安物買いの銭失いになる可能性もあり得ます。
土地を買う前にはその土地についてちゃんと調べてから買うように注意してください。

#3. 建売住宅を買う

建売住宅は注文住宅よりも安くて良い家が買えます。
これは大量発注をすることで工事費や材料費を下げているからです。

あなたが注文住宅に拘る理由は何でしょうか?
実は友人や知人に対する見栄だったりしませんか?
もしそうであれば、注文住宅を買う事自体お金の無駄ということになります。
建売住宅も検討することで思ったよりも安く理想の家が手に入る可能性もありますよ。

#4. とりあえず貯金をして住宅ローンの額を減らす

住宅ローンは家賃と同じ、早く家を買った方が良いとよく聞きますが、それはお金がある人の話です。
家を買う時は思わぬ出費があり得ます。
そのため、貯金がない人が無理に家を買うと、住宅ローンの総額が調整できず、結果、月々の支払いが家賃以上になり生活が苦しくなることも十分にあり得ます。

賃貸の方がリスクが少ない

賃貸なら収入が悪化すれば引越しをして家賃を下げることができますが、住宅ローンは簡単には下げられません。

また、地震、洪水などの天災で家が壊れた時、賃貸なら回復義務は大家にありますが、戸建はあなたのお金で回復しないといけません。

そんな時のために火災保険や地震保険があると思われるかもしれませんが、火災保険ならまだしも、地震保険は入っていても家を全快できるだけの費用は降りないのです。
不足分はあなたが実費で支払うことになってしまいます。
家を買うということはリスクを背負うことにもなるのです。

もし月収20万円で家を買うのなら、そのリスクが背負えるかを考えておく必要があります。

手取りの月収20万円で家を買うのはリスクが高い

私は、月収が少ないなら無理をして家を買うべきではないと思っています。
まずは貯金や投資などで手元のお金を増やすことをオススメします。

貯金が多ければ住宅ローンの月額を減らすことができます。
そうすれば月々の支払いを家賃と同じかそれ以下にすることができます。
そうなった時に初めて家を買うことを検討するべきです。

なぜ家が欲しいのかをまずは改めて考えてみてください。
今の生活よりも金銭的にも精神的にも楽になるというなら買うべきですが、ただ欲しいだけとか、増税前で買わないと損という理由であれば無理をして買わない方が無難です。

一番大切なのはあなたの生活が破綻しないようにすることです。
家は間違って買ってしまうと生活を破綻させる可能性もある危険な商品です。
生活を圧迫したり、わざわざ不便な土地に移動してでも買うべきかどうか今一度考え、あなたにとって最良の結論を出してくださいね。

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